また面白いミステリーを見つけてしまいました。
今回読み終わったのは、アンソニー・ホロヴィッツ著「カササギ殺人事件」です。
古典的な英国ミステリーが好きな私にはたまらない、アガサ・クリスティのオマージュミステリーです。
ミス・マープルやブラウン神父など英国ミステリー定番といえるような、
古くて美しい教会、豪壮な貴族の館がある田舎の村。
そんな閉鎖的な村で起こる殺人事件。
エルキュール・ポワロを思い起こすような、外国人の頭の切れる探偵。
古典的な設定で物語は始まります。
1955年7月、サマセット州にあるパイ屋敷の家政婦の葬儀が、しめやかに執りおこなわれた。鍵のかかった屋敷の階段の下で倒れていた彼女は、掃除機のコードに足をひっかけたのか、あるいは、、、、、。その死は、小さな村の人間関係に少しずつひびを入れていく。燃やされた肖像画、屋敷への空巣、謎の訪問者、そして第二の無惨な死。病を得て、余命幾許もない名探偵アティカス・ピュントの推理はー。
カササギ殺人事件<上> (創元推理文庫) [ アンソニー・ホロヴィッツ ]

アティカス・ピュントと助手のジェイムズ・フレイザーは村の住人の話を聞いて回り、
ひとつひとつの状況証拠つなげていく。
「揺るぎない証拠よりもむしろ推論を組み立てることによって、謎はすべて解けている」
そして、上巻の最後、、、、
「あの男は、わたしが知りたかったことをすべて教えてくれたよ。あの男こそは、この事件のきっかけを作った人物なのだからね」
「本当ですか?いったい、何をしたんです?」
「自分の妻を殺したのだ」
カササギ殺人事件<上> (創元推理文庫) [ アンソニー・ホロヴィッツ ]
ん?
上巻でもう分かっちゃったの?
この後、下巻が300ページ以上あるのに?
ここからが、小説の常識を覆すような展開が始まります。
★ネタバレ若干あり。注意!
下巻では、突然ミステリー小説の伝統的な美しい田舎の村から、
現代のロンドンへ引きずり出されます。
こんなに腹立たしいことってある?
日曜の午後、原稿の最後まで目を通したわたしは、すぐさまチャールズ・クローヴァーに電話をかけた。チャールズはわたしの上司で、《クローヴァーリーフ・ブックス》の最高経営責任者、〈アティカス・ピュント〉シリーズの発行人だ。
「チャールズ?この原稿、結末部分はどうなっちゃったんですか?ミステリの原稿を読ませておいて、誰が犯人かわからないようにしておくなんて、いったいどういうこと?これを聞いたら、かけなおしてくださいね。」
カササギ殺人事件<下> (創元推理文庫) [ アンソニー・ホロヴィッツ ]
さっきまで、このアティカス・ピュントの推理シーンが来るぞ!とドキドキしていたのに、
「犯人」は突然おあずけにされて、
突然このミステリー小説の編集した女性のロンドンの自宅に移動します。
しかも、ついに推理が始まる!ってときに、大事な結末がなくなってしまいます。。。
一体誰が犯人なんだ、一体誰が殺したんだ、動悸は?トリックは???

そんなお預け状態から、このミステリー小説の作者である「アラン・コンウェイ」の自殺が発覚します。
消えたミステリーの結末、そして不可解な遺書。
アラン・コンウェイの葬儀で出会う、小説とリンクするような個性的な人々。
そんな人々の話を聞いて回る度に、さらにこの自殺に疑問符がつき始めます。
そして、この編集者の女性自身がアティカス・ピュントを彷彿とするような推理を組み立てていくのです。
アラン・コンウェイの作り出した「カササギ殺人事件」と
アラン・コンウェイ自身の「死」の2つがクロスしながら、ひとつのミステリー小説になっているんです。
そして、最後この2つのストーリーが衝撃の真実で同時に解決することになります。
とにかく予想がつかない展開の中で最後の衝撃、、、
ミステリー好きさんには、ぜひ読んで欲しい!
古典的でかつ新しいミステリです。
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